23.5cmの卒業証書 from ペアリングを外して

「やだぁ。小出君ウケる」

「だろ?」

 デレデレしちゃって。

 あんなやつ、本気で相手にされるわけないのに。

 私だけを見てればいいのに。

 もっと構ってよ。

 もっともっと、ケンカしようよ。

 感情に気付いた時には、もう無視できる段階ではなかったのだ。

 あいつが描いた下手くそな似顔絵を、私は捨てられなかった。

 捨てたふりをしてこっそり自宅に持ち帰り、引き出しに収納。

 あいつが私にくれたものだから……捨てられるわけがなかった。



 言い合い喚き合いはなくならないまま、気持ちだけが高ぶっていく。

 好きなのに、私は彼を罵倒し、蹴りを入れ、怒った顔ばかりを見せた。

 別に彼女になりたいわけじゃないし、こんな気持ち恥ずかしくて知られたくない。

 毎日顔だって見れるし、このままでいいんだ。

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