桃太郎【Gulen】


「ど、どうした?桃太郎。」


 このバカ!!


「お前も、頭を下げろ!!この方を誰だと思ってる?」


 慌てて金太郎の頭を抑えて、無理やり頭を下げさせる。


「え、えぇ~」


 驚いた金太郎の言葉はとりあえず、無視だ。


「こ、これは斉天大聖様とは、露知らず、とんだ失礼を!」


 何でだ?


 そもそもなんで、斉天大聖様がこんな狂女のところにいるんだ?


 いたら、手土産の一つも持ってきたというに・・・。


「え、おい桃太郎、何言ってる?今、コイツは孫悟空と・・・。」


 あぁ、本当にお前の頭はイヌ並だな!


「その孫悟空というのが、斉天大聖様の名前なんだよ!」


「はっ!だって・・・。」


「顔をお上げください。私は、同じ名前こそしていますが、斉天大聖様でもなければ、ハマヌーンでもございません。」


 ・・・・・え?


 言われて、タケルは顔をあげる。


「なんだ、同姓同名かよ・・・紛らわしい。」


 あぁ、俺はこの場で金太郎を殺しても、きっと罪にはならないだろう。


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