桃太郎【Gulen】
旅の途中
ここで一つ、確認しておかねばならないことがあった。
それは、『孫悟空』という『斉天大聖』と同じ名前を名乗ることが許されているほどの男が、どうしてあのような狂女・・・愚帝の輝夜姫の下にいたのか・・・ということである。
大和も出雲も正直、輝夜姫のせいで京の国に対してそれほどまでに、警戒をしているわけではない。
しかし、唐からこのようなご大層な人物が来客するというなら、話は別だ。
「不老不死の秘薬・・・か。」
桃太郎が、己の推理を口にする。
「さすがです。わが主は、死と老いを何よりも恐れております。倭の国に不老不死の秘薬を持つ姫がいると聞き及び、私が参った次第でございます。」
なるほど・・・不老不死と噂される輝夜姫・・・。
実在するならば、わざわざ大陸を越え、唐から使者が来るのも、理解できる。
「楊貴妃・・・噂には聞いていたが、ほどほどに郷の強き女だな・・・。」
口にした瞬間、タケルの喉元に突きつけられるは、如意棒の先。
「お言葉に気をつけください。例え、大和の王子とは言え、わが主の侮辱は何人たりとも許しはしません。」
・・・・・・・・・・・・。
骨はあるな。
少なくとも、輝夜姫の国のものよりは・・・。