桃太郎【Gulen】


 なるほど。


 全てに合点がいった。


 過去に父、スサノオウと共に暮らしていた男がいた。


 男の名はオロチ。


 里に馴染まず、国に属せず、ただ釣りを生業として森の中でひっそりと暮らしていた漁師である。


 父がオロチと別れ、国の王座についた後、オロチは一匹の蛇を飼うようになる。


 八又の蛇・・・実物こそ見たことないが、父いわく、非常に可愛らしい見た目をしていたらしい。


 しかし、それが良くなかった。


 国のものは、その八又の蛇を気味悪がり、またそれを飼うオロチに対しても嫌悪感を示すようになっていった。


 そして、国に蔓延する流行り病。


 誰もがオロチの呪いだと疑わなかった。


 他に方法がなかったのだ・・・。


 父は言った。


 オロチの首を取ったのは、この俺だ。


 育ての親の首を取ったのだ。恥じることあれど、誇ることなどない。


 俺はそのような恥の上に玉座についている。


 息子のお前には知る権利がある。


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