桃太郎【Gulen】
半月かけてここまで来た。
鬼退治のために。
父の成せなかったことを成すために。
父は言った。
・・・どちらにしても王位はお前に譲るつもりだった・・・と。
そうだ。スサノオウの後継者となるべく男として俺は選ばれたのだ。
父の成せなかったことをするために。
戦神と呼ばれた、父のさらに上の男となるために・・・。
名誉と捉えよ。誇りと思え。
俺は、鬼を退治する権利を得た。
「ご配慮、痛み入ります。すぐに用意させていただきます。」
出雲王は、タケルに深々と一礼をすると、従者を呼びつけ二つの部屋と、茣蓙を用意させる。
明日、いよいよ決戦。