★甘美な、とろける夜☆―with chocolate cake
「先輩、このケーキは大人の味ですねぇ」



一口、もう一口…と口に運んで行く度に、頭がふわふわして、気分が高らかになる。



「大人な味か…だったら、試してみるか?

……大人なキス」



「先輩…」



先輩は近付き、力強く抱き締めると、右耳に手を充てて唇が後少しで重なる、という位置で近付くのを止めた。



その微妙な距離のまま、先輩は問いかける。



「嫌だったら、振りほどけ…じゃなきゃ、するぞ?」



「…や、…じゃな…いです」



近すぎる距離に緊張して、途切れ途切れになる言葉。



もしかしたら…

先輩はケーキの中の洋酒の味に、酔ってしまったのかもしれない。



酔っててもいいや。



学校ではクールな先輩も、酔うと…積極的な狼さんになっちゃうなら、

もっと早くに酔わせれば良かったかな?



…なんてね?



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