★甘美な、とろける夜☆―with chocolate cake
あと2センチ…1センチ、と近づく度に、目をギュッと閉じて、拳も強く握りしめ、息を殺す。



「んっ…」



唇が触れたかと思うと、その瞬間は一瞬だけで…

チョコレートとブランデーの味が混ざり合い、妖艶なまでキスへと変化して、とろけてしまいそうな位。



甘くて、それでいて…味わった事のない、正に大人のキスのような気がした。


「ははっ…何て顔してるんだよっ」



緊張し過ぎたせいか、きっと茹でタコみたいに真っ赤で、間抜けな顔をしていたに違いない。



先輩は笑ってるけれども、アタシには一大事な出来事だったんだから。



「先輩、笑ってるけど…一葉はっ、一葉は必死だったんですよ」



「…知ってる。ボケた顔してたから」



酷い、酷すぎる…

ボケた顔って何ですか!?



「じゃあ、もう一回してみる?」



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