★甘美な、とろける夜☆―with chocolate cake
先輩が心配してくれて抱き締めてくれた事が嬉しくて、それに答えるかのように背中に腕を回す。



先輩の背中って、結構広くて…何だろ、男の子だからか、筋肉質で固い。



あの花のような香りがする柔軟剤がふんわりと漂って…

昨日も、ううん…朝まで一緒に居たんだな、って再確認出来る。



「演劇部のクリスマス発表会だったんですぅ。…で、天使役だったんです。一葉…発表前になるとついつい、役になりっきっちゃいまして…」



「…やっぱ、帰れ。帰って寝ろっ!!」



ありゃ!?



今まで抱き締めてくれていた腕をほどかれ、一葉は玄関から追い出されて、ドアを閉められそうになった。



この状況を打破する為に、閉められそうなドアを必死にこじ開ける。



「うぬぬ〜…嫌ですっ、帰りませんってば!!」



「かーえーれーっ!!」



先輩も必死に抵抗してきて、強い力に負けてしまいそう…

でも負けないんだからっ!!


「…うわぁっ!?…わふっ!?」



あんなに拒絶して抵抗していた先輩が急に手を離すから、反動で玄関先の雪の上に転がる一葉。



コートも髪の毛も雪だらけな一葉を見て、先輩は笑った。



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