★甘美な、とろける夜☆―with chocolate cake
―――当日、神様にお願いが通じたのか、朝から雪がパラパラと降り、夕方になってもなお、降り続いている。



昨日の夜は眠れなくて、空を見上げては…落ち着きを無くしていた。



何度もカーテンを開けては閉めてを繰り返し、疲れて寝た時は、既に夜中2時を過ぎていた。



「先輩、約束守ってくれてありがとうございますっ!!一葉は世界一幸せ者ですねっ」



そう言って、どさくさ紛れに先輩の冷たい手を握ろうとしたら、

「…うるさい」

と言われてはね除けられた。



まぁ、いっか。



まだまだ夜は長いんだし。


そうだ、それよりも先輩に聞いてみたい事があるの。



「先輩、一葉がもしも“天使”になったらどうしますか?」



「何だ、その質問は…。天使…か、そしたら俺が天に召される時が来たら、迎えに来てくれよな」



先輩は呆れたような顔をしながらも、笑って答えてくれた。



こーゆーところが、可愛くて大好きっ。



「はいっ、お迎えに行きますねっ」



「俺はまだ死なねーつーのっ」



一葉はもうすぐ天使になるの。



20歳までに、消え逝く運命を持ち合わせた少女なの。




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