★甘美な、とろける夜☆―with chocolate cake
クリスマスイブはどのお店も混んでいて、予約をしていない高校生のお客など相手にもされない。



仕方なく、ファーストフードでご飯を済ませた一葉達は、ただひたすら歩くばかり。



先輩は一葉を歩道の端に追いやり、その隣を歩幅を合わせるかのように歩いてくれている。



手を繋がなくたって、先輩の気遣いが伝わって来て、もっと好きな気持ちが込み上げる。



もっと、もっと、ずっと…先輩と一緒に居たいよ。



「先輩?こっちは駅ですよ?もう帰るのですか?」



「うるさい、黙って着いて来い。こっちに用事があるから…」



先輩は何を話す訳でもなく、ただ一葉の問いに答えているだけ。



素っ気なくても、答えてくれるだけで嬉しい。



そんな先輩が自分から口を開いたと思えば、素敵なサプライズ。



「ちょっと寄っていいか。ケーキ予約してあるから」



ケーキ?



予約?



自分の願いを叶える為とはいえ、先輩を嫌々誘ってしまったかと反省はしていたけど、

まさか、まさかの展開。



「先輩は一葉の事を思って…うんと、大好きなんですねっ!!」



「…さぁ?」




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