★甘美な、とろける夜☆―with chocolate cake
先輩がケーキ屋さんに寄っている間、私は店頭に飾ってあるツリーの中に天使を見つけた。



フェルトで作られた小さくて可愛い子供の天使。



この子よりは生きてきたけど、天使になったら、今の姿のまま、心のままで居られるのだろうか?



それとも、先輩の事も家族の事も全部忘れてしまうんだろうか?



「良かったら、差し上げますよ?それ、私の趣味で作ってるものですから…」



店員さんの声かけにより、ハッとする。



「あ…えと良いんですかぁ?凄く可愛いですっ」



店員さんは先輩にケーキを引き渡すと、ツリーの前へ出てきて、天使の飾りを外してくれた。



「ピンクの羽根の天使も良かったらあげます」



白い羽根の天使とピンクの羽根の天使を、御丁寧にも小さな紙袋に入れてから、渡してくれた。



「ありがとうございますっ!!凄く嬉しいですっ!!」



店員さんに沢山たくさん、お礼を言ってから、ケーキ屋さんから出る。



先輩は笑いながら、

「良かったな」

って…。




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