かえりみち

「はい?」
幸一は我に帰った。
若い青年が、怪訝そうにこちらを振り返っていた。

あぁ、やっぱり幻を見ていたんだ。

「あ・・・人違いです、申し訳ありませんでした」
深々と頭を下げ、その青年の顔をちらりと見たとき、幸一の体に衝撃が走った。



栗色のまっすぐな髪の毛。
少し黄みがかった、透明感のある白い肌。
細い手足。
そして、少しおびえたような大きな瞳。


この子、
この子まさか・・・

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