かえりみち

妹とはもう21年一緒に暮らしてる。
妹というか、母親が死んだ後の11年は、俺にとっては母親代わりみたいなもんだったけど。

だから何を考えているのか分かるんだ。
大抵のことは・・・

「あ゛う!」
大きな物音と共に、卓也の声。

振り返ると、テーブルの下で卓也が頭を抱えている。

「お前・・・何度同じ場所でぶつければ、気がすむんだよ!」

「だいじょうぶ?」

百合は笑いながら、卓也の頭を見てあげる。

「大丈夫ね、たぶん。こぶにはなると思うけど」

「なんか今、星が見えた・・・」

「フフフ、すごい音だったもんね」

・・・やっぱり、あまり分かってないんだろーか。

二人を見てると、分からなくなってくる。
お前ら、好きだったんじゃなかったのか?

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