かえりみち
さっきも一緒に帰ってきたし・・・
あ。そうだ、それで思い出した。
そんなこと考えてる場合じゃなかった。
「ハオホエホーフがホアエノホホ、サアシテタホ」
「ちょっと、食べながら話さないでよ」
「ごめんごめん。卓也、早乙女教授がお前のこと、探してたぞ。お前さ、コンサート行ってる場合かよ?俺よりもお前のほうががけっぷちだって、分かってる?」
「あぁ・・・」
卓也が気のない返事。
おい・・・その気の抜けた返事はなんだよ。
「それとももう・・・あきらめてんのか?」
「いや。そういうわけじゃないけど」
ここは、数ヶ月先に生まれた先輩として、びしっと言ってやらねば。
「お前学院から出されたら、あとどうするつもりなんだ?ここに置いてやるのはかまわないんだけどさ、百合だって結婚していなくなるんだし。誰がお前の面倒見るんだよ?」
百合が吹き出した。
「お兄ちゃん、ひとのこと言える立場にないでしょ」
おいおい、妹よ。
ここ笑う場所じゃないぞ?
卓也はまだ、座り込んでネコを見ている。
おい、聞いてんのかよ・・・。
「あ、そうだ」
百合が、唐突に席を立って二階に上がっていった。