かえりみち
タク。
私が、今世界で一番会いたい人。
そして、一番会いたくない人。
なんでそこにいるの?
まるで、・・・
まるで、わたしの心が読まれてるみたいに見える。
百合は、慌てて涙をふいて笑顔を作った。
「タク!どうしたの、急に」
卓也は無言のまま、険しい表情で百合を見つめている。
タク・・・
いつからそこにいたの?
最初から?
全部見てたの?
全部聞いてたの?
卓也の表情が、その問いに答えていた。
「・・・」
卓也はくるりと背を向け、そのまま立ち去ろうとする。
「待って!」
百合は必死に、追いかけていって卓也の腕をつかんだ。
卓也が立ち止まる。
でも背中は百合に向けたまま。
「そういうことだったのか。」