かえりみち
歩は欄干の柵の部分に足をかけながら、少しずつ上っていく。
やがて、欄干の一番上に立ち上がった。
足元を流れる水は、折からの雨を集めて濁流になっている。
欄干の上の歩が、ちらりと振り返って、薄く微笑んだ。
「止めないでね?」と言っているように見えた。
そして、歩は欄干の外へ姿を消した。
卓也は、欄干から下を見下ろす。
静かに流れる暗い水面に、卓也の顔がゆがんで映っている。
その目が向こうから、じっと自分を見つめているような気がした。
あれから14年たつけど、誰も幸せになってない。
それどころか、不幸な人をまた一人増やしてしまった―。
やがて、欄干の一番上に立ち上がった。
足元を流れる水は、折からの雨を集めて濁流になっている。
欄干の上の歩が、ちらりと振り返って、薄く微笑んだ。
「止めないでね?」と言っているように見えた。
そして、歩は欄干の外へ姿を消した。
卓也は、欄干から下を見下ろす。
静かに流れる暗い水面に、卓也の顔がゆがんで映っている。
その目が向こうから、じっと自分を見つめているような気がした。
あれから14年たつけど、誰も幸せになってない。
それどころか、不幸な人をまた一人増やしてしまった―。