雨女がくれた恋の奇跡
えぇ・・・俺は立ち止まって驚いた。


先輩は俺の悩みを忘れていなかったのかとぼっと考えながら、元気の無い声で返事をした。


「えぇ・・・はい」


後ろに気配が無くなって、振り返ったら綾野が立ち止まって、うつむいていたから


「綾野どうした?そんなところで落ち込んでいないで、居酒屋に行ったら、話しを聞くから落ち込むなよ」

なだめてくれる言葉を聞いて、ここで落ち込んでいたって仕方がないと思い。俺は顔を上げて、笑顔で「はい」と先輩に笑顔を見せた。


先輩や立花さんが立ち止まって、俺を待っているところまで俺は足ばやに走った。


「すいません・・・落ち込んだ顔を見せて」


「さぁ飲みに行きましょうよ。これから飲む居酒屋は会社から近いんですよね」

「そうだもう少し行ったところにあるから、だから行こう」


「道ばたで悩んでないで、居酒屋で話してくれよ」


「何か悩んでることでもあるの?綾野さん」


「えぇあるんですよ・・・」


俺は島田先輩と立花さんの前でハァ〜とため息をついた。


ちょっと言葉が詰まってしまったけど、一応話すだけ話してみるかとみんなで歩きながら、独り考えていた。


「島田。今日は島田のおごりなの?」と立花が歩きながら言ってきたから、


俺はキッパリ言った。


「それは無い。みんなで割り勘だよ」と立花さんに島田先輩が堅く伝えたら、


「たまには部下におごってよ」と立花さんが困った声で言って、足どりが遅くなったので、俺は 「立花さん行こうよ。仕方がないよ」


「先輩だけに払わせるわけにはいかないよ」


そう言ったら、


「そうよね。綾野さんの言うことは許しちゃう」


「うん行きましょう」
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