雨女がくれた恋の奇跡
「もう立花さんは気分屋なんだから」と俺は困った顔をした。


久しぶりに夜空を東の方角へと流れる厚い雲のあいだから満月が現れて、静かで暗い水たまりを明るく照らしていた。


居酒屋に入ってあれから3時間ぐらい経った。


「先輩も立花さんも飲み始めてもうほろ酔いしていた」


飲んで食べながら、俺の話しを同僚と先輩は聞いてくれた。


「おい綾野」


「お前の悩みは一体なに?」


「正直に言ってみろよ」


「こっちは聞いてあげると言っているんだから」


「俺ですか・・・」


「まぁそんな大したことはないっていうか・・・」


「言いずらいんですけど・・・」


酒をグッと飲んで、勢いで言っちゃった。


「悩みは失恋です」


堂々と抱えていることを話したら、俺の隣に座っていた。立花さんが驚いた顔をして、


「えぇ〜綾野さん失恋したんですか!」


「どうして・・・」


「綾野さんは優しくて、真面目な人なのに・・・」


先輩はつまみの枝豆を食べながら、失恋した原因は俺にあるんじゃないかと疑うことを言ってきた。


「まさかお前が別の女を作ったとか?」


「えぇ綾野さんってそうゆう男なんだ!」


「ぜんぜん違いますよ!」

「俺じゃないですよ」


「じゃどうして失恋したんだよ」


「まぁ落ち着いて下さい!失恋の理由を話しますから」と俺は言った。


興味心々と島田先輩と立花さんは俺の失恋話を聞いてきた。
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