雨女がくれた恋の奇跡
「話しは長くなりますけど、突然。彼女からのメールや電話が何日も来なくなって、心配になって彼女の家に直接行ったんですよ」

「行ってみたら、偶然バッタリと他の男と一緒に彼女が部屋から出てきたところで俺と会ってしまって」


「俺はその場で彼女に声をかけたんです」


少し酔っていたけど俺の失恋話を真面目な顔で同僚と先輩は聞いてくれた。


「綾野が失恋かぁ〜それは辛いな〜」


「綾野さんかわいそう」


「男でも女でも失恋は辛いけどな」


「その後はどうなった?」

「どうなったんですか?」

「俺に見られて、その場から他の男と一緒に逃げようとしたところを、待って待ってって、何度も言ったんですけど・・・」


相手の男と彼女は俺に目撃されて、ヤバイ顔をして逃げようとした。そのときに彼女が強気な口の言い方で


「私はあなたが思っているような女じゃないの!」


「帰って。帰ってよ!」


そう言って逃げるように、男の車に彼女は乗ってどこかに行ってしまったんですよ。


「男ひとり彼女が去ってく姿を見ているしかできなかったのは」


「悲しい別れだな」


俺は落ち込んだ綾野を元気づけようと、俺は自分の失恋話を語った。


「俺なんて朝起きたら隣で寝ていた彼女が突然と姿を消していて」


「玄関に置き手紙があってさ」


「さよなら楽しかったわ」

「それだけだもんね」


「俺が一番惨めだと思うな〜」


「だから綾野。お前の失恋はまだいい方だよ」


「そうなんですかね・・・」


酔っていた立花さんが「先輩そんなことがあったんですか」と笑いながら言った。


「顔に似合わずショック」

そう言う言い方をされて俺は怒った。
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