雨女がくれた恋の奇跡
「寿命は一ヶ月と決まっているから、生きているあいだには人間の男の子と恋が出来たらいいなぁ」とうれしくて、ひとり夜道で喜びを感じていた。


「人間なれるからには一度は恋がしたいよぉ」と願っていた。


その頃。俺は買い物を済ませて、コンビニを出て、歩いていた。大通りを曲がって、住宅街が立ち並ぶ一本道を疲れた顔をして、歩いていた。


まだ雲に隠れることのない満月を見上げて、私は人間に変身できる。力をくれたことに、満月に感謝を心で伝えた。


「お月様ありがとう」


暗い道を見て、「ちょっと歩いてみようかな」と思い。


「せっかく出られたんだし」


暗い夜道を人間なって、独り歩いてみた。


「やっぱりなんだかうれしいなぁ」


「人間になって、歩けるってことは」


「この道はどこに続いているのかなぁ?」


歩いていたら、大通りへと続く道を見つけた。


「こっちだぁ」


好奇心で走ったら、わき道から歩いて来た。男の人とぶつかってしまった。


軽く酔っていた。俺は謝った。


「あぁすいません」


「ごめんなさいね」と私も返すように謝った。


「いゃ・・・こちこそぼっとして歩いていたから、すいません」


俺はぶつかったことなど、気にせず、そのまま家に帰った。


背中を向けながら、歩いて行く男の人を見つめて、「気おつけないと、危ないね」


そう思い。私は歩こうと一歩足を前に出したら、左足にコッンと足になにか硬い物が当たった。


足元を見たら、携帯電話が落ちていた。


拾って思った。


「あぁさっきぶつかった男の人の」だと思い。


私は慌てた。


「忘れていると思うから、早く届けないと・・・」
< 21 / 76 >

この作品をシェア

pagetop