雨女がくれた恋の奇跡
それを聞いて、無言になってしまった。


そこで元気づけてやろうと思って、俺は話した。


「俺たちのことを息子。娘。に思ってくれてうれしいですよ」


俺の話しを聞いた先輩が調子に乗って、


「そうだよな綾野」


先輩が席を立ち工場長の隣の席に来て、


「綾野。立花。見ろ」


「俺と工場長が肩を寄せ合った顔を見てみろ」


「親子みたいだろう」


「ほら鼻の形とか輪郭とかね〜」


「似ているだろう」


俺の話しを聞いて、笑ってくれた。工場長だった。

「島田。お前おもしろいことを言うな〜」


「そうですか。調子に乗って、いけませんね」


顔を赤くして、恥ずかしそうに頭を下げた。


俺たち3人と工場長は笑い合った。


「じゃ今週の土曜日にでも飲もうな」と穏やかな顔で言いながら、


工場長は先にお昼を済ませて、食堂を出ていった。


工場長が去って、俺はこう言った。


「俺たち3人が娘。息子。と思えると言ってましたね」


「工場長も家でひとりで酒を飲むときさびしいんだろう」


「息子さん亡くしているらしいしな」


「よし俺たちが盛り上げてあげようぜ」と言った先輩に立花さんは


「そうよね行ってあげましょうよ」


「これも付き合いなんだし」


「先輩も立花さんも酔って、工場長に口を滑らせちゃだめですよ」


「親父に慕うように飲めばいいよ」


「お父さんガンガン飲んでみたいな」感じでさ


「ところで島田先輩も立花さんも今年の夏はどうするか決めてます?」


「今年の夏ね〜」


「まだ決めていないな〜綾野」


「梅雨も始まったばかりだしさ」


「私は友達と海に行こうと考えているけどなぁ」
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