雨女がくれた恋の奇跡
慌てた先輩の姿を見て、俺も立花さんも相田さんも笑った。


「立花さんも綾野さんもこの会社に勤めて、長いんですか？」


「俺と立花さんは同期で、この会社に入社して2年だよ」


そこにトイレから戻ってきた先輩が割り込んで、


「俺は6年目ね〜」と陽気に話して来た。


私は水たまりから、人間の姿で出て来て、


雨が降る中


綾野さんが住んでいるアパートを探していた。


「どこかなぁ？」


「もしや・・・あれかなぁ」


「白いアパートって言ったら、この辺りじゃここしかないし」


「昨日。この道の先の右側にあると教えられたからなぁ」


とりあえずアパートの敷地内入り


ポストに名前が書かれてないか見てみた。


探してみると。


「あった！103号室。綾野って、書いてある〜」


私は単純にうれしかった。

「私のカッコイイ彼氏はここに住んでいるわけですねぇ」


「相田ちゃんはこの仕事が初めての正社員なの？」


片想いで盲目になりかけている島田先輩は新人の相田さんに話しかけていた。


「そうです。このお仕事が初の正社員です」


「この会社に入る前はコンビニでアルバイトしてましたから」
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