*イチバンチカク*
「突然で悪かった」
「いえ。どうぞ」
そう言って私はお父様を自分の部屋のソファーへ案内した。
「何かご用でしたら私から伺いましたのに」
「いや…」
そう言うとお父様は腕を組んで静かに話し始めた。
「今のお前にこんな事を言うのもあれだと思うのだが…先日のパーティーでお前を気に入ったと申すものがいてな」
それって…
私の胸がドクンと音をたてて脈打った。
「ぜひお前を妻にと言ってきた」
「………」
「無理にとは言わんが…」
その気はない、そうはっきり告げればいいのに…
「わかりました。その方とはお会いになれるんですか?」
私の言葉に初めお父様は少し驚いた表情を浮かべたけれど、すぐに優しく微笑んだ。