*イチバンチカク*
再び私の頭を優しくなでると、お父様は部屋を後にした。
ひとりになって、私はもう一度お父様の話を思い出していた。
明日、私に会いにくる顔も知らない婚約者…
セルジュ様の時もそれは同じだった。
けれど、私はあの人を好きになれた…
今度もまた…同じように好きになれるのかな…?
ふう、と大きなため息をつくと私は窓から外を眺めた。
なぜかはわからない。
わからないけれど、彼が…ヴェネットの事が気になってしょうがない…
ねぇヴェネット…
あなたは、私が結婚すると聞いて…
いったい、何を思うの…?