*イチバンチカク*


再び私の頭を優しくなでると、お父様は部屋を後にした。



ひとりになって、私はもう一度お父様の話を思い出していた。



明日、私に会いにくる顔も知らない婚約者…



セルジュ様の時もそれは同じだった。



けれど、私はあの人を好きになれた…



今度もまた…同じように好きになれるのかな…?



ふう、と大きなため息をつくと私は窓から外を眺めた。



なぜかはわからない。



わからないけれど、彼が…ヴェネットの事が気になってしょうがない…



ねぇヴェネット…



あなたは、私が結婚すると聞いて…



いったい、何を思うの…?
< 19 / 46 >

この作品をシェア

pagetop