*イチバンチカク*
次の日。
謁見の間の玉座に座るお父様の隣に、少しお洒落をして立つ。
「ふぅ…」
私が小さくため息をつくと、お父様が心配そうな顔で見つめてきた。
「ドレスがきつくて」
余計な心配をかけたくなくてそう言って笑うと、少しぎこちなくお父様も笑った。
その時、バタンと扉が開いてヴェネットが部屋に入ってきた。
私はじっと彼を見つめたけれど、ヴェネットは一度もこちらを見ずに扉の側に立っている。
そうよね…彼は私の護衛なんだもの…
私がぼんやりとそんな事を考えていると、再び扉が開きひとりの男性が入ってくる。
にこりと微笑んで私を見たその人物に、私は驚きを隠せなかった。
だって、そこにいたのは…
「お久しぶりです、姫」
長い金髪を横に結んだその男性は、パーティーの夜に踊りを踊った男性だったのだ。