*イチバンチカク*
「お姫様もおもしろい事を考えたもんだ」
【姫】という言葉に、俺は僅かに反応した。
昨日姫が俺に伝えようとしてくれた言葉。
俺は心の底から嬉しかった。
嬉しかったのに…結局彼女を泣かせてしまった。
チラリと王族のいる場所に目を向けると、姫がじっとこちらを見ているようだった。
遠くて顔は見えないが…俺を…見ていてくれるのだろうか…?
「余裕だな…よそ見なんかして…」
「………」
何も答えない俺の態度がかんに障ったのか、男はニヤリと笑い更に俺との距離をつめた。
「もうすぐあの姫様も俺のものだ…残念だったな」