*イチバンチカク*
――――――
「なかなかいい試合だなぁ」
「…はい」
父である国王の隣で、私はじっとふたりの試合を見つめていた。
ヴェネット……
無意識に彼を追ってしまう視線に思わず俯いてしまう。
『そのような事をおっしゃってはいけません。あなたは姫君で…私はただの……騎士なのだから…』
昨日の夜にあなたに言われた言葉…
やはりあなたにとって私は仕えるべき【姫】でしかないのね…
私は決めていた。
潔く…結婚しようと…
この試合、ヴェネットが勝つ事などまずない。
私は彼の姿をじっと目で追っていた…