*イチバンチカク*
「ヴェネットが気になるか?」
「えっ…」
突然の事に驚く私を、頬杖をついたお父様がニヤリと笑いながら見つめていた。
「……ええ」
自分でも驚くほど素直な言葉が口から出てきた。
「昨日彼に会いに行ったんです。けれど…あなたは姫君で自分は騎士だと言われてしまいました…」
改めて口にすると、再び涙が溢れそうになる。
「ヴェネットにとって、私は今も昔も仕えるべき姫君でしかないんです…」
そう言いながら、私は再び俯いた。
「まったく…お前たちは似たもの同士というかなんというか…」
やれやれといった様子で、お父様は私の顔を自分の方へと向けた。