*イチバンチカク*


「お前はヴェネットの何を見てきた。おまえを見つめる目が、【ただの姫君】を見つめる目か?」

「……それは…?」

「ヴェネットはずっとお前を愛していた。もちろん、ひとりの女としてだ」



うそ……



私はゆっくりと視線をヴェネットに向けた…



剣を交えたまま動かないふたり。



その時、ヴェネットがこちらを見た気がした。



「ヴェネット…」



あなたが…私を…?



「自分が騎士だという身分から、お前を突き放したんだろう…お前の幸せを願ってな…」



そう言うお父様をじっと見つめていると、突然歓声が聞こえた。



急いで目を向けると、男が倒れている。
< 39 / 46 >

この作品をシェア

pagetop