*イチバンチカク*


その瞬間、闘技場はしんと静まり返る。



一歩、また一歩と姫の元へと歩みを進めていく…



そしてちょうど目の前まで言った時、俺はゆっくりと姫の前に跪いた。



「見事…勝利を納めて参りました。これも、姫君のお声があったから…」



そう言うと、俺はゆっくりと顔を上げた。



涙でぐしゃぐしゃの顔で俺を見下ろす姫…



俺は思わず笑みがこぼれた。



ああ…俺は昔からこの方に惹かれていたのだと、改めて思い知った。



「姫…お慕いしております。ずっと…ずっと昔から…」

「ヴェネット…」
< 43 / 46 >

この作品をシェア

pagetop