*イチバンチカク*
――――――
「姫様が帰ってきたって?」
俺は耳を疑った。
姫様は婚約したんじゃなかったのか?
俺はすぐさま国王陛下の元へと向かった。
「陛下ッ。姫様が帰っていらしたというのは…」
「ヴェネット…」
陛下の眉間に深く刻まれたしわを見て、俺は噂が本当なのだと悟った。
「…姫様はどちらに?」
「今頃部屋に戻っているだろう」
俺はすぐさま姫様の元へ向かおうと、国王陛下にお辞儀をするとドアに向かって歩き出した。
「ヴェネット」
俺の背中から聞こえる陛下の声。
俺が振り向くと陛下は何とも言えない表情を浮かべていた。
「いや、何でもない」
俺は再び陛下にお辞儀をし部屋を出た。