*イチバンチカク*


「ヴェネット…お前も辛いだろうに…」



国王の声は、誰に届くことなく広い国王の間に吸い込まれるように消えた…


―――――


さて…どうしたものか…



俺は姫の部屋の前で立ち尽くしていた。



勢いに任せてここまで来たもののいざ姫に会うとなると何と言えばいいのか全く浮かばなかった。



「姫…」



幼い頃からずっと見守ってきた…



初めはほんの親心。いや、ただ騎士が仕える主という感情しかなかった。



それが…いつからだろう…



こんな風に、あなたを思う時間が増えたのは…



意を決して、俺は姫の部屋のドアを叩いた。
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