*イチバンチカク*
第二話 パーティー
――――――
「今夜、宴を開こうと思う」
そう陛下に言われたのは今朝。
流れる音楽に合わせて楽しそうに舞う人々を眺めながら、俺は姫に目を向けた。
陛下の隣に腰を下ろし美しく着飾った姫。
美しい…俺は素直にそう思った。
無理もない。今日の宴は姫の婚約者を探すためのものなのだから…
しかし、姫は今夜の主役だというのに浮かない表情を浮かべている。
無理もないか…
姫の中にはまだ……
「ヴェネット」
ぼんやりと考えていた俺の耳に聞こえたのは、俺の名を呼ぶ姫の声。
姫はパタパタと俺に近づくとにっこりと微笑んだ。