王子様とツンデレ姫
倉庫に着いて、重い扉を開けると先客が居た。

男の子は、
壁に寄りかかったうつむいてるから、顔はよく見えない。

ハチミツ色の前髪が、かすかに揺れる。
風のせいだろう。


あたしは、扉を閉めた。


って、先客居たら泣けないじゃん!

ま、いっか。
ここに居るだけでだいぶ気晴らしにはなる。


電気はついてるけど暗い。


あたしは、雨で濡れたポニーテールをほどいた。
腰の下まであるかみは、背中にひっついて冷たい。


座って、髪を絞る。
水がポタポタと垂れ落ちる。
それが膝の上に落ちた。

「冷たっ…」

もう…最悪…。


シャツの上に着ているセーターを脱ぎ、それも絞った。


もう一度それを着て、腕をこすりあわせた。

「寒ッ……」



ーガチャ、ガチャガチャ!


「え……?」
何…?


「鍵、閉められたな」

口を開いたのは、もう一人の男の子だった。




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