さよならさえも言えなくて
先に帰ればいいだけの話。

そんな事は分かっている。



だけど先に帰ってしまったら、そこからどんどん巧海との距離が遠くなってしまう様な気がして出来なかった。


何よりあたし自身、巧海と出来るだけ一緒に居たいという想いがあった。


「……よし」


あたしはそう呟くと、目の前にある問題集を開いた。


暇つぶしには、何だかんだ言って勉強が1番いい。

勉強をしている時は、それで頭を一杯に出来るから。


あたしの性格上、何かを考えると直ぐにマイナスな方に考えてしまう。
それが巧海の事となると、余計それに拍車がかかる。
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