さよならさえも言えなくて
すると隣に居た化粧の濃い女の子がそれに反論する。


「だってあいつが辞めるって言ったんだよ?
しかもあっちがあたしの誕生日忘れるからいけないんじゃん!」


何となく事情は分かったけれど、やっぱり頷く事は出来ない。
だけどキッパリ断る勇気もなく、あたしは曖昧な返事をする。
するとそれを察したのか、茶髪の人があたしに今までとは違う質問をして来た。


「じゃあさ、何で嫌なの?」

口調は緩やかなものの、“嫌”という言葉にピクリと反応する。


「あの、嫌って訳じゃ無いんです」


「じゃあいいじゃん」


横から田中が口を挟んで来た。
確かに、そう言われれば何も言えない。


「俺達見た目でよく恐いとか言われるけど、全然そんな事ないから。
だから心配しないで」


「そうそう!
人助けだと思ってさ!」


「あたしも女1人は嫌だし……ね?いいじゃん!」
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