さよならさえも言えなくて
だんだんとメールの回数も増えていき、冗談なども言い合えるような仲になった。

ただそれはメールの中だけで、その時になっても1度も話せずにいた。
















1月17日。
冬休みが終わって3学期が始まった頃。


その日はいつもより寒くて、外は雪で真っ白になっていた。
あたしはいつも通り家を出て、いつも通り授業を受けた。
特別な事なんて何もなくて、あるとすれば、いつもより髪型が綺麗にまとまったくらいで。


巧海のことは好きだけど、告白なんて全く考えてなかった。
未だに一言も話せてなかったし、幼馴染みの女の子と付き合っているという噂もあったから、
好きでいる事がなんだか辛くて、叶わない恋をしている気がして、気が付くと自分で気持ちを抑えるようになった。


けれど、叶わないと思えば思う程
叶わない夢を描いてしまい、メール越しの巧海に元気がないと、なんとかして元気にしてあげたいと思ってしまう。

それが日に日に増えていっているのは自分でも分かっていた。

気付けば相性占いをしちゃったりして、占いだと自分で自分に言い聞かせながらも結果が悪いとショックを受けたり、メールがなかなか返って来ないと、不安で一杯になったり。



あたしの全ては巧海を中心に回り始めていた。
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