Memory's Piece

脱力感を全身で味わっていると


「やっぱり違うか・・・・」


と頼兎がボソリと呟いた。


「やっぱりってなんだやっぱりって。それに俺に対しても魅稀は容赦ないぞ」


ソファーから落ちないように深く座り直して頭を抱えると、頼兎は「だって」と言葉を続けた。


「そういう関係にはあんまり見えないですけど人間に対して容赦ないあの魅稀が信頼してるなんて・・・・・ねぇ?」


「ねぇ」ってなんだ。

「ねぇ」って。

俺に聞くんじゃない!!

心の中で大絶叫だ。


「信頼・・・・ねぇ・・・・。」


気を取り直して、俺は頼兎の発言を小さく呟いてみた。

全くされてないとは思わない(というか思いたくない)が、頼兎が言うようにガッツリされている気もしない。

信頼・・・・されているんだろうか。


「信頼されてなきゃ暴走した魅稀が説得だけで止まるなんて有り得ないんじゃないですか?」

本気で悩みはじめた俺に、頼兎が苦笑して首を傾げてみせる。

慰められてしまった。


「人間の枠にはめていいのか謎だからなぁ。」


猫とか虎とかそういう野生動物というジャンルの方が魅稀には似合っている気がするのだ。

人間の常識なんて野生動物には通じないように魅稀にも通じない。

そんな感じだ。

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