Memory's Piece

そうなってくると考えたこともなかったが、実は俺と魅稀の関係ってなんだったんだろうか。

親友・・・・・ってのは何だか違う感じがする。

恋人ってのも問題外。候補から即削除。

・・・・・・下僕?

・・・・・・あ、意外としっくりくるぞ。


「・・・・やめた」


「え?」


考えれば考える程、落ち込みそうだ。

頭を振って、当たってるかもしれない予想を追い出して俺は頼兎に「なんでもない」と表情を取り繕った。

いつのまに移動したのか、赤いヤツとどつきあっていた頼兎が心配そうに俺を見る。


「なんでもないって感じじゃなかったですよ?なんか、こう・・・・哀愁が漂ってるかんじで。」


・・・・・・哀愁。

意外と洞察力が鋭い頼兎に苦く笑いながら俺は「本当に何でもないんだ」と手を振った。

頼兎に言ったところで、何にもならないし、第一こんなくだらない思考は封印するに限る。

「そういえば」と話をそらしつつ、俺は寝室のドアをみた。


「一連の騒動ですっかり忘れてたが、腹・・・・減ったな。」


「ぐぅ~・・・・」


小さく呟けば返事があった。

かなり良いタイミングで。

頼兎の腹から。


「ぷっ・・・」


「うぉっ!なんて正直なんだ俺の腹!!」


俺が噴き出すのと、顔を赤くして頼兎が自分のお腹にツッコミを入れるのはほぼ同時。


「あははっ・・・・・!!」


「波狼さん、笑いすぎ・・・・。」


.
< 104 / 237 >

この作品をシェア

pagetop