Memory's Piece
そうなってくると考えたこともなかったが、実は俺と魅稀の関係ってなんだったんだろうか。
親友・・・・・ってのは何だか違う感じがする。
恋人ってのも問題外。候補から即削除。
・・・・・・下僕?
・・・・・・あ、意外としっくりくるぞ。
「・・・・やめた」
「え?」
考えれば考える程、落ち込みそうだ。
頭を振って、当たってるかもしれない予想を追い出して俺は頼兎に「なんでもない」と表情を取り繕った。
いつのまに移動したのか、赤いヤツとどつきあっていた頼兎が心配そうに俺を見る。
「なんでもないって感じじゃなかったですよ?なんか、こう・・・・哀愁が漂ってるかんじで。」
・・・・・・哀愁。
意外と洞察力が鋭い頼兎に苦く笑いながら俺は「本当に何でもないんだ」と手を振った。
頼兎に言ったところで、何にもならないし、第一こんなくだらない思考は封印するに限る。
「そういえば」と話をそらしつつ、俺は寝室のドアをみた。
「一連の騒動ですっかり忘れてたが、腹・・・・減ったな。」
「ぐぅ~・・・・」
小さく呟けば返事があった。
かなり良いタイミングで。
頼兎の腹から。
「ぷっ・・・」
「うぉっ!なんて正直なんだ俺の腹!!」
俺が噴き出すのと、顔を赤くして頼兎が自分のお腹にツッコミを入れるのはほぼ同時。
「あははっ・・・・・!!」
「波狼さん、笑いすぎ・・・・。」
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