Memory's Piece
「・・・・・・夢・・か・・・・。・・・はっ・・はは・。」
冷たく笑って、体を起こす。
体と心がバラバラにならないように体を抱きしめて目を閉じれば落ち着ける静寂が満ちていく。
久しぶりに見た最悪な夢。ここに来てからはあんまり見なかった夢だ。
ふらりと立ち上がって、髪の毛を手櫛で整えながらボクはグチャグチャになった布団に掌を滑らせる。
頭に浮かぶのは、頼兎の顔と波狼の顔。
そして、真っ黒に塗り潰された男の顔。
喉元にせり上がってくる気持ち悪いものを、意識して無視しながらボクはスラスラとメモにペンを動かした。
何処かに行くときはメモを残していくっていう波狼との約束があるんだ。
波狼の家を出て、通りに出たボクは高く結んだ髪を揺らしながら大通りに向かった・・・・・・・・・。
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