Memory's Piece

ニヤリと犬歯を光らせて不敵に笑う波狼を邪魔しないように近くにあった電柱に上り、ボクはヒョンッと尻尾を振った。

波狼の戦闘を見るのはボクがまだ初心者だった波狼の面倒を見てた日以来だ。

どのくらい強くなったのかと観察の体勢に入ったボクはしばらくして、あまりにも優勢な戦闘にため息を零すしかなくなっていた。

見る価値もなかった。

三人がかりでも、あの程度の力じゃ波狼の敵にもなれない。

それは道を歩く蟻を踏み潰すのと同じくらい楽な作業だ。

全てを血だまりに沈めた後、プレイヤーの核となる記憶のカケラを奪った波狼は小型の箱をポケットから取り出してその中に3つ全てをしまい込んだ。

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