Memory's Piece
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「出たわね。妖猫のミケ。」
クスリと形のいい唇を持ち上げ、日傘を回す。
視線の先には、妖猫のミケとして名の知れた女の姿がある。
逢いたいとずっと願っていた相手の姿だ。
「一緒に遊びたいけど、まだその時期じゃないのよねぇ~。」
クスクスと可愛らしく笑ってから、私はくるりと背中を向けた。
今はまだ、その時期じゃない。まだ・・・・ね。
その存在を目で確認できただけでもヨシとするべきだ。
「またね♪おねぇちゃんっ。」
別れを告げてからニヤリと笑って、私は正反対の方向に歩きだした――――――・・・。
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