Memory's Piece

代わる代わるに聞こえる、一つずつ違う、不思議な声達。

全て聞き覚えのない声。

それぞれが"Memory's piece"と囁いた後に一気に周りが静まり、鐘の時と同様に突然大きな音が響いた。

ドンッ!という音とともに空に咲いたのは大輪の花だ。


「はっ・・・。」


鮮やかな彩りで夜空を染めたのはチョコレートと同じくらい大っ嫌いなもの。

小さく息を吐く。ここまでくれば嫌がらせだ。もう、笑いしか出て来ない。

どれもこれも、ボクの過去をくすぐるものばかり。

男の群れ。チョコレート。それに、花火。

ここにあの男がいれば完璧だ。


「魅稀?」


「・・・・・・・・・」


「おい魅稀。」


「・・・・・んっ??・・・あぁ、何。」


「ハロウィン開始だってよ。あれ、拾わなきゃいけねーんだと。」

ボクのツインテールをくいくいと引っ張ってボクを現実に引き戻した波狼は地面に無数に落ちている南瓜を指差した。

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