Memory's Piece
「・・・なにあれ」
「さあ?」
至極真っ当なボクの疑問に同じく疑問形で返事をした波狼は、「とりあえず手に入れとけよ」と言って人混みの中に消えていく。
つまりは、あの南瓜を手に入れなければ始まらないという事だろう。
「はんっ。上等じゃん」
いろいろとトラウマを引きずり出してくれるアイテムが乱立してくれたせいでぐっちゃぐちゃになった心を整理するのにはちょうど良い。
コロコロと足元に転がってきた南瓜には目もくれず、ボクは目の前にいたプレイヤーを派手に蹴り飛ばした。
「南瓜が欲しいならかかってきな」
なーんて決めゼリフも言ってみちゃったりする。
猫耳&尻尾がなければ『妖猫のミケ』だと思われないのか、周りのプレイヤーはいとも簡単に挑発に乗ってくれた。
足元に転がっていた南瓜を掬いとるようにして月夜見に引っ掛けて片腕に抱え込んだボクは南瓜を奪い取ろうとするプレイヤーを素早く切り捨てる。
あっちに飛んでこっちに飛んで。
真っ赤に染まっていく体に愉悦すら感じながらボクは声を張り上げた。
「弱い弱い!!弱すぎだよ!ははは!!」
狂喜乱舞。まさに言葉のまんま。
しゅるんっと悪魔みたいな尻尾を振って、築かれていく人の山にボクはニンマリと笑った。
死なない程度の重傷を負わされたプレイヤー達は逃げ出すことも向かってくることも出来ずに呻き声を出すだけ。
それがまた面白くてしょうがない。
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