Memory's Piece

「んぁ?魅稀じゃん。」


「波狼クン、はろーん」


レストランの中に入ったボクは、テーブルについて可愛らしくスパゲッティを食べていた波狼の横の椅子に腰を下ろした。


「珍しいな。お前がこの時間帯にレストランに来るなんて」


「あぁ、まね」


ボクは普段、夕方からを狩りの時間に使っているから、波狼が驚くのも無理はない。

外がオレンジに染まるこの時間帯はいつもボクは獲物を追って走り回っているのだから。


「んー・・・・」


「なんだ、どした?」


テーブルに突っ伏したボクに目を白黒させながら尋ねてくる波狼に尻尾を一振りしたボクは、


「目玉を加工場に持って行ったら何ができると思う?」


と心のなかに渦巻く感情とは別のことを波狼に問い掛ける。


「は?なんだって?」


「だーかーらっ、目玉だってば。めーだーまっ。」


絶対に聞こえてたはずなのに聞き返してくる波狼にボクは声を大きくして言った。

「苛ついてるな。女子の日か?」と尋ねてきた波狼をとりあえず、スパゲッティの中に埋めてボクはポケットから目玉を取り出す。


「腹がたったから取ったけど、別にいらないんだよね」


テーブルの上を転がして波狼の方にやったボクは、ざわつく胸に手をやった。

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