Memory's Piece
本気で嫌がれば桃亜姉はやめてくれるのかと昔は思ったこともあったけど、結局はボクは桃亜姉に弱いから。
「あらあら、みーちゃん。
・・・・・と、うー君?大丈夫?」
不機嫌丸出しなボクに桃亜姉は心底困った風に顎に手を当てる。
そんなに困ってない風の台詞だけど瞳は不安で揺れ動いている。
何か言えれば良かったんだけど、今は精神的に余裕がない。
ボクは桃亜姉の横にいる馬鹿兎を無理矢理ベンチから引っぺがし、荒々しく腰を下ろした。
「痛っ!魅稀、何しやが……!」
地面に転がった兎が抗議してくるが、ボクははんっと鼻で嘲笑してそれを一蹴する。
「うっさい黙れ呟きシロー。
ボクは今、虫の居所が素晴らしく悪い。
頼むからそこではいつくばって何も言うな」
「はぁ!?」
スーパースペシャル踵落としとライジング回し蹴りを喰らうはずだったんだから地面と仲良くするくらい大人しくやってもらわないと。
フイッと顔を逸らして何処でもない場所を睨みつける。
苛立ちとか自分への腹立たしさとか昔のトラウマへの恐怖とかが全部ごちゃまぜになって、全部を吹っ飛ばす為に頭の中が殺戮衝動に染まろうとする。
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