Memory's Piece
「これでど?」
思考の海に沈んでいたボクを呼び戻したのは零一の『超満足っ』て感じを含んだ問い掛けだった。
「なんじゃこりゃあっ!!」
なにをそんな達成感に満たされているのかと渡された鏡を見て、ただ絶叫。
なんて言うかな。
一言で言うなら・・・・複雑?
ごちゃごちゃってしてて、ボキャブラリーの少ないボクには到底表現出来そうにない髪型だ。
「あら、何よその反応」
ボクの反応が不満だったのか、零一はぷぅっと頬を膨らませてどれだけのテクニックがこの髪型に注ぎ込まれているか・・・・・という説明を始めた。
はっきり言って、理解できないボクには零一の言葉は宇宙言語に等しい。
「もー!なんでも良いから元に戻せっ!」
「えー。なんでぇ?似合ってるのにぃ」
「そういう問題じゃないっ!!」
確かに、自分で言うのもなんだけど結構似合ってると思う。
だけど、いまの状況でこの髪型はいただけない。
真剣にこれからのことについて悩んでいたボクの出鼻をくじくような髪型なんて勿論却下だ。
「渾身の力作なのにぃ。」
グスグスと鼻を鳴らしながら慣れた手つきでピンを抜いていく零一に心底呆れつつ、ボクはいつものようなツインテールにしてくれるように頼んだ。
不服だったようだけど、零一は素直に結び直してくれる。
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