Memory's Piece
『耳元で大きな声を出したらダメ』なんてそこら辺の小学生でも知っているぞ。
てか、なに。
イケメンの匂いなんかのためにボクは放っておかれた訳?
納得いかないんですけど!!
既に大分離れたところにある零一の気配を探りとって、全速力でダッシュし始めたボクは風が運んできた匂いにスンスンと空気を嗅いだ。
零一が言うイケメンの匂いなんかはボクには分からない。
ていうか分かりたくもない。
でもこの匂いは知ってる。
・・・・血だ。
鉄と塩が混ざった匂いにボクは眉を寄せた。
零一はボクと違って理由もなく人を殺ったりする奴じゃない。
結構な血が流れたらしい匂いで殺ったのが何となく零一だってことは分かったけど。
何で零一が?
と首を傾げていると、血の匂いの中にかぎなれた匂いが混ざった。
この匂いは、頼兎の血の匂い。
うん?なんでそんなとこにいるのかな??
なんてボクの疑問に答えてくれる人はいない。
「居たっ!!」
零一は、愛用の武器をしまっているところだった。
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