Memory's Piece
どうして、皆が幸せになれないのかしら。
ゲームなんだからもっと幸せに満ちればいいのに、裏には混沌と暗闇が溢れている。
『どうして?何で・・・・・?サナと一緒は嫌なの?』
「ううん、サナちゃんと一緒にいるのは好きよ。でもね・・・・」
彼女は私の大切な妹に似た私を閉じ込める忌まわしい鍵。
真っ白で真っ黒。
大好きで・・・・・大嫌い。
『モモは、傷ついちゃいけないんだよ?』
水面のように揺らぐ彼女の瞳に、感情が混ざる。
憎しみと哀しみ。恨みと申し訳なさ。
その全てを押し込んで、私は何処かにいるはずのみーちゃんを想った。
傷ついちゃいけなかったのは私の妹。
守れなかった幼い妹。
「分かってるわ。でもね、私も大切な人が傷付くのを、もう見ていられないの。サナちゃんも、そう思える人が居る筈よ?」
「…………っ!」
息を詰めて彼女は唇を噛んだ。
彼女が『ナギサ』を大切に想うように私もみーちゃんが大切。
それは変わりようのない事実。
確かにナギサの変わりに真綿の檻にいることは私に課せられた義務。責務。
だからいつかは戻らなくちゃいけない。
でも、それは今じゃなくていい。
私とナギサは表裏一体で光と影なのだから。
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