Memory's Piece
「分かった。サナは帰る。でもね、モモ。サナはモモが好きだから、モモが傷ついて欲しくないの」
「えぇ、分かってるわ。
でも、私だってみーちゃんの力になりたいの」
サナちゃんが心配してくれているのは知ってる。
でもこの気持ちはだれにも譲れない。
サナちゃんは少しだけ俯いて、「分かった」というと空気に溶けるようにして掻き消えた。
「ごめんね・・・、サナちゃん。」
心配をかけてしまってごめんね。我儘言ってごめんね。
誰もいなくなった場所にポツリと謝って、固く拳を握り締めた。
「桃亜姉、誰に謝ってるの??」
サナちゃんへの申し訳なさに地面を見つめていると、ふと足元に影が落ちた。
見慣れた黒いブーツに、聞きなれた優しい声。
「みーちゃん!・・・おかえりなさい」
「ただいま、桃亜姉」
.